未来は何が起きるかわからないので全世界株式インデックスに投資しているという方は多いですよね。
しかし情報収集のために検索しても、長期リターンどころか10年以上さかのぼっただけでチャートすら出てきません。
つみたてNISAなどで人気の全世界株式インデックスですが、意外と歴史が浅く長期データてあんまり存在していないんです。
そんな中、全世界株式インデックスの30年チャートを入手できたので、前回はこの30年チャートとS&P500の比較を行いました。
そして今回は当ブログお馴染みの積立シミュレーションです♪
色々調べてみましたが、全世界株式インデックスの長期積立シミュレーションをやっているサイトはどこにもない!!(たぶん)
誰もやってないなら僕がやるしかあるまいw
ということで、全世界株式インデックスの30年積立シミュレーションを行いました。
ただの積立シミュレーションだと面白くないので、今回はS&P500との比較に加え、算出された数値を使って乱数シミュレータでこれから先30年のシミュレーションもやってみました!
是非お読みください(^^)
この記事を読んでわかること
- 全世界株式インデックスを30年積み立てた場合のリターン・リスク
- 長期シミュレーションの意義
- これから30年後のリターンシミュレーション
この記事を読んでほしい人
- 特に根拠なく漠然と全世界株式インデックスに投資している方
シミュレーション結果の前に注意事項です。
今回の長期積立シミュレーションで算出される「最終資産額」にはほとんど意味がありません(相場の値動きによって全く結果が異なるため)。
これから先はシミュレーションとは違う未来がやってきます。
算出されたシミュレーション結果は
- 過去30年はどのような値動きがあったのか
- 暴落した時はどれくらい下落したのか
- 30年で平均回帰したリターンとリスクはどれくらいか
という目安でとらえてください(^^)
目次:ジャンプできます
全世界株式インデックスと為替リスク
当ブログではお馴染みですが、今回も為替を考慮した円建てグラフで積立シミュレーションを行っています。
米国インデックスと同様にITバブル時やリーマンショック時は為替の影響により円建てチャートはドル建てチャートより劣後していますね。
日本で外国資産に投資する限り、投資信託だろうとETFだろうと個別株だろうと必ず為替の影響を受けるので要注意です。
↓為替リスクの関連記事↓
1989年~2020年|約30年積立シミュレーション
まずは今回のシミュレーション条件を簡単に。
円建てACWI(全世界インデックス)・S&P500に連動する架空の投資信託に毎月1万円ずつ積み立てた場合のリターン・リスクを算出しました。
- 円建てACWI(全世界インデックス)はMSCIでダウンロードしたものを円建てに変換
- S&P500はMacroTrendsでダウンロードしたものを円建てに変換
- 月に一度しか価格を拾わない月次チャートを使用しています
- 分配金は1.8%で計算
- 手数料・インフレは考慮しない
- 平均リターンは幾何計算で算出
※簡易な計算なのでイメージとしてお楽しみください(^^)
こちらは円建て円建てACWI(全世界インデックス)・S&P500のチャート比較です。
チャートだけ見ると全世界株式インデックスが大きく劣後していますね。
これはチャート序盤の1990年代に日本経済のバブル崩壊が大きく影響しています。
「全世界株式インデックスは世界全体に投資するからどの国が伸びても安心」と思っている方も多いですが、逆にいうと「世界中のどこで暴落が起きても影響してしまうという」デメリットもあることは知っておきましょう。
円建てACWI(全世界インデックス)・S&P500毎月1万円を積み立てるとこんな感じです。
先ほどのチャートほど差はありませんが、米国株S&P500の方がハイパフォーマンスとなりました。
しかし、よく見ると積立開始から最初の20年は全世界株式インデックスもS&P500もそんなに差がありません。
この30年で見ると米国株が超絶優秀なのは直近10年のハイパフォーマンスぶりが大きく影響していることが分かりますね。
簡単にまとめると
元本379万円に対し
- ACWI:1172万円(約3倍)
- S&P500:1927万円(約5倍)
今回は1万円積み立てですので、毎月3万円だと3倍、5万円だと5倍と考えるとどちらも資産形成としては十分な成績ですね。
30年という長期で平均回帰が進んだリターンとリスクを算出できる
ただ最初にも言ったとおり、今回のシミュレーションで算出された最終資産額には意味はありません。
意味ないのにシミュレーションやったの?
最終資産額には意味はありませんが、30年積み立てたデータには意味があるんです。
こちらは米国株ですが保有期間と実質利回りを表にしたものです。
長期投資には「平均回帰」という言葉あります。
例えば、コインを投げると表が5連続で出ることもありますが、何百回と続けると50%に近づきます。
これと同様に、トランプ大統領の言動などで激しく値動きする株式も、時間と伴に平準化され平均値へ近づいていきます。
この30年は日本バブル崩壊、ITバブル、リーマンショックなど様々な出来事がありました。
30年データで算出される平均リターンやリスクは「平均回帰」が進むことによって、長期リターン・リスクの目安としては有用な数値であると考えています。
↓シーゲル教授の株式投資について詳しくはこちら↓
30年積み立てたリターン・リスク
平均回帰を踏まえたうえでリターンとリスクを見てみましょう。
円建てACWI・S&P500に毎月1万円ずつ積み立てた場合の年ごとのリターンです。
ITバブル崩壊による長期マイナスリターンやリーマンショックによる凄まじい暴落も現れていますね。
この約30年の平均リターン・リスクはこんな感じです。
ググっても円建ての全世界株式インデックスを30年積立シミュレーションしたサイトは見当たらないので、ある意味貴重なデータです(笑)
この数値から分かることは
全世界株式インデックスに毎月1万円積み立てると
- 1年間で得られる期待リターンは5.6%
- 5.6%を中心に±19.6%で日常的に変動するリスクがある
S&P500に毎月1万円積み立てると
- 1年間で得られる期待リターンは8.3%
- 8.3%を中心に±20.9%で日常的に変動するリスクがある
と読み取ることができます。
↓リターンとリスクについて詳しくはこちら↓
乱数シミュレータを使って30年シミュレーションしてみた
全世界株式インデックスに毎月1万円ずつ積み立てると約30年積み立てると1172万円でしたが、これはあくまでも過去の結果です。
未来は必ずこれとは違う結果となります。
今回導き出した平均リターン5.6%がこれから30年続くとしても、バブルや崩壊のタイミングや回数が異なることで将来のリターンは大きく変わってくるんです。
ということで、将来も今回の平均リターンとリスクが同じと仮定した場合、30年積み立てるとどうなるのか乱数シミュレータでシミュレーションしてみました。
↓今回使用した乱数シミュレータはこちら↓
今回導き出した数値
- 平均リターン:5.6%
- 年次リスク:19.6%
- 投資期間:32年(1989年~2020年なので)
- 毎月1万円を積み立てる
を使用してシミュレーションします。
↓乱数シミュレータについて詳しくはこちら↓
シミュレーション結果がこちらです。
平均リターン5.6%、リスク19.6%で計算すると元本384万円に対し、平均値1039.4万円、中央値782.6万円と実際のリターンよりも控えめな結果となりました。
計算結果の分布を見ると実際のチャートから導き出した1172万円は上位30%くらいの成績で平均値や中央値と比べると運が良かったということになります。
まとめ|全世界への投資という言葉に過度の期待は禁物
- 全世界株式に毎月1万円を約30年積み立てると1172万円になった
- ただし、この1172万円には意味はない
- 期間中は平均リターン5.6%・リスク19.6%
- この数値で乱数シミュレーションすると約30年で中央値は782.6万円
出展:GFM
こちらはジェレミー・シーゲルの著書「株式投資(第5版)」に記載されています1900年~2012年の世界各国の株式・債券の実質リターンです。
この表を見ると今回の平均リターン5.6%は平均回帰という意味でもかなりイイ線いってるように思います。
しかし、積み立てシミュレーションはシミュレーション期間の終盤が右肩上がりだとリターンが良くなる傾向があります。
同じリターンでもシミュレーション期間終盤に暴落が来るとリターンは一気に悪くなりますし、元本割れしている可能性だってあります。
今回の30年で1172万円(約3倍)という数字は鵜呑みにせず、中央値の782.6万円(約2倍)くらいに思っておく方が良いのかもしれません。
ブログ村ランキングに参加しています。あなたのワンクリックがとてもモチベーションになっています。