コロナショック後の株価回復が鈍く、すっかり下火になってしまった米国株高配当投資。
しかし、見方を変えると今が仕込み時と考えることもできますよね。
ということで今回は、一番有名な米国高配当ETFといっても過言ではないVYM(バンガード・米国高配当株式ETF)の過去チャートを使用して、その魅力を検証してみました。
今回は表現の都合上、配当金に統一しています。
- 株式からの利益還元→配当金
- ETFからの利益還元→分配金
→ややこしくなるので今回は全て配当金と表現
この記事を読んで分かること
- VYM(バンガード・米国高配当株式ETF)の特徴
- VYMを積み立てた場合のリターン・リスク
この記事を読んでほしい人
- これから米国高配当ETFに挑戦したい方
- VYMに興味のある方
先に結論を言いますと、今回のシミュレーションではVYM(バンガード・米国高配当株式ETF)を毎月約2万円分購入し続けると、13年後には月13,000円の不労所得が完成するという結果となりました。
たった2万が13年で月1.3万になるとは思えない・・
VYMの過去10年の配当利回りは3.25%(2019年末時点)でした。
これに米国の税金と国内の税金を差し引くと2.34%まで目減りします。
単純計算で100万円投資しても年2.3万円なので、とても月1万円を超える配当になるなんて考えられないですよね。
しかしなるんですよ、これが。
そのからくりはインカムゲイン(配当収入)ではなくキャピタルゲイン(株価上昇による利益)にあり、このキャピタルゲインこそがVYMの真の魅力だったんです。
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米国高配当ETF【VYM】とは
VYMって何?という方のために簡単に紹介します。
バンガード・米国高配当ETF【VYM】
REIT(不動産)を除く米国株高配当利回りの大型株を中心に構成されているETFのことを言います。
- インデックス:FTSE ハイディビデンド・イールド・インデックス
- 信託報酬:0.06%
- 銘柄数:406
- 過去10年配当利回り:3.25%
↓インデックス・信託報酬がよく分からない方はこちら↓
上位銘柄とセクター構成比
出展:バンガード
大型株が中心なだけあって、JPモルガンやジョンソン・エンド・ジョンソン、エクソンモービルなど日本でも聞きなじみのある企業が多いですね。
セクター別では金融が大きなウエイトを占めています。
株価の動き
こちらはVYMが設定された年からのドル建て・円建てチャートです。
皆さんは高配当投資で得た配当金は日本円で消費しますよね。
よくネットに出ているチャートはドル建てが多いですが、日本で生活している限り、必ず円に変換が必要です。
なので、今回のシミュレーションは全て円建てで行っています。
2019年末時点ではドル建てでは1.8倍、円建てであれば1.7倍とあまり差がありませんが、リーマンショック時はドル建てより10%余分に暴落し、その後長く低迷しています。
日本円に変換する際の為替リスクは想像以上に大きいということは知っておきましょう。
↓為替リスクについて詳しくはこちら↓
VYMリターンシミュレーション
はい、それでは恒例の積立シミュレーションいってみましょう!
世にVYMのトータルリターンを記した記事は数あれど、積み立てた場合のシミュレーションはそんなにありません(たぶん)
円建てのVYMに約2万円積み立てる
- 計算期間はVYMが設定された2006年11月~2019年12月
- VYMのチャートはTradingviewでダウンロードした月次チャートを使用
- ドル/円チャートはInvesting.comでダウンロードしたものを使用
- 約2万円分の株数を積み立てる
※ピッタリ買えないので2万円÷株価で四捨五入した整数の数を購入する - 配当は過去10年の平均3.25%に米国税・国内税を差し引いた2.34%で計算
- 配当金が株価を超えた場合に追加投資する
※簡易な計算なのでイメージとしてお楽しみください(^^)
円建ての平均リターンは6.99%
シミュレーション結果です。
配当金がテーマなので、配当金を全て消費した場合、全て再投資した場合で比較しました。
配当金を再投資した場合、VYMを毎月2万円買い続けると元本の約2倍、720万円まで膨れ上がり、平均リターンは6.99%と優秀な結果となりました。
これくらいなら使っちゃってもイイかもね。
こちらはリターン・リスク・累計配当金を比較した表です。
毎月約2万円ずつ買い続けると13年でもらえる配当の累計額は87.6万円でした。
今回のシミュレーションでは配当金を消費した場合と再投資した場合では、累計配当金の差は約10万円でした。
これを
- 10万円しか違わないなら使ってしまおう
- たった10万円の差が再投資すると120万円を生む
と考えるかは人それぞれです。
僕は将来の資産形成を目的に投資をしているので後者の再投資をする派です。
毎月2万円積み立てると13年後に毎月1.3万円の収入になった
トータルリターンが十分優秀なことが分かったので、今度は配当収入にスポットを当ててみましょう。
こちらは配当金を年別に比較したグラフです。
グラフを見るとわかるとおり、配当金を全て再投資した場合、13年後の2019年にもらえる配当金は15.7万円(月1.3万円)という結果となりました。
その秘密は冒頭でも触れましたがVYMのキャピタルゲイン(株価上昇による利益)にあるんです。
VYMは設定された2006年11月の株価は円換算で約5,800円ですが、13年の時を経て1万円にまで成長しているんです。
- 5,800円 × 2.34% = 136円
- 1万円 × 2.34% = 234円
たった2.34%の配当利回りもキャピタルゲインの相乗効果によって1.7倍に膨れ上がっているんです。
しかも今回のシミュレーションではリーマンショックを挟んでいるので、2008年~2012年にかけて安く購入できたのも大きな要因の一つとなっています。
ちなみに元本をベースに配当利回りを計算すると、
元本ベース2019年の配当利回り
15.7万円 ÷ 元本315.7万円 × 100 = 4.99%
税引き後で約5%は高配当戦略としてはぶっ飛びで優秀ですね!
このように、パっと見の配当は少なくてもキャピタルゲインによって超優秀な高配当銘柄に変身するのはVYM最大の魅力といえます。
ただし、株価が上がらないことも想定しておこう
今回のシミュレーションはリーマンショックを含んでいるものの、投資序盤のため影響が少なく、その後の米国株黄金期によって株価が爆伸びしているので平均リターン6.99%ととても優秀な結果となりました。
ただ、このペースで資産や配当金が増えると考えるのは少し危険だと思っています。
ということで、株価が伸びない場合を想定したシミュレーションもしてみました。
こちらはもしVYMの価格が約13年前の水準である5,000円のまま変わらなかった場合と先ほどのシミュレーションの配当金を比べたグラフです。
株価が13年間全く伸びなかった場合は、再投資しても2019年の配当金は8万円と先ほどの約半分程となってしまいました。
VYMもキャピタルゲイン(株価上昇による利益)が伸びなかったら、配当もさほど伸びません。
いやいや、そんなことはありません。
実際に20年前の米国株は10年以上株価が伸びず低迷が続いた時期があったんです。
↓米国株の低迷について詳しくはこちら↓
超長期では高い確率で株価は伸びていくと思いますが、10年単位であれば低迷する可能性があることは頭に入れておきましょう。
まとめ|VYMはキャピタル×インカムで真の実力を発揮する
円建てVYMを毎月2万円13年買い続け配当金を再投資すると
- 元本309万円に対し最終評価額723万円
- 累計分配金は税引き後87.6万円
- 月1.3万円の配当収入になる
優秀だが、株価が伸びないと配当金も伸びない
今回シミュレーションをしてみて、VYMはキャピタルゲイン(株価上昇よる利益)とインカムゲイン(配当による利益)を掛け合わせることで真の実力を発揮する銘柄ということが分かりました。
高配当銘柄は成長株と比べ株価回復が鈍く、現在は下火状態です。
しかし、バーゲンセール延長中なので仕込み時とも言えますよね。
「長期投資は下がった時が買い」って習いましたよね?
今後しばらく低迷が続くかもしれませんが、米国経済の成長を信じられるのであれば長期運用することで資産形成に十分有用であると思います。
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