これからアジアのGDPが爆伸びされると予想されており、将来性に期待して新興国株式に投資されている方は多いと思います。
「GDPと株価は比例しない!」といった意見もありますが、僕は結構、いやかなり期待して新興国株インデックスに投資しています。
しかしこの新興国株インデックス、調べようとしても情報が少ないって感じませんか?
特に10年以上さかのぼると検索してもほとんど情報が出てきません。
それもそのはず、新興国株インデックスってまだ歴史が浅く20年を超えるファンドがないんです。(ご存知の方はご一報ください)
2005年、小泉純一郎率いる自民党が衆議院議員選挙に圧勝。日本の規制緩和が進むのではないかという外国人投資家の思惑もあり、株価は上昇しました。
~中略~
そして、この頃はまだ、新興国株式に投資するインデックスファンドは、個人に一般開放されていませんでした。
書籍お金は寝かせて増やしなさいにも2005年はまだ日本で新興国株インデックスに投資できなかったと記されています。
調べてみると、日本で新興国株インデックスに投資できるようになったのは2008年のSMTシリーズと呼ばれる投資信託が最初のようです。
そんな過去がナゾに包まれた新興国株インデックスですが、1988年からの32年分の指数データを入手できたので、今回は新興国株インデックスと米国株インデックス(S&P500)を10年単位で比較してみました。
新興国株インデックスが米国株インデックスを上回ることはあるのか気になりませんか?
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株式指数MSCI エマージング・マーケット・インデックス
MSCI エマージング・マーケット・インデックスとは
新興国(エマージング)の株式を対象とした米MSCI社が提供する株価指数。
新興国(エマージング)26か国を時価総額加重平均で算出しており、時価総額の上位約85%をカバーしています。
MSCI ACWIに連動する主な銘柄
- eMAXIS Slim新興国株インデックス
- iシェアーズ MSCI エマージング・マーケット ETF
- 上場インデックスファンド 海外新興国株式 (MSCIエマージング) (ETF:1681)
構成国・地域
こちらはMSCI エマージング・マーケット・インデックスに連動するeMAXIS Slim新興国インデックスの国・地域別構成比率です。
中国・台湾・韓国・インドとアジア圏の4国(地域)で全体の75%を占めていますね。
新興国インデックスは構成国の時価総額の大きさで比率が変動するので、ある国の株価が成長し時価総額が増大すると、その国の比率が大きくなるように設計されています。
また、指数算出開始当時は10か国で構成されていましたが、構成国・地域は年々増加し、現在は26か国となっています。
新興国株インデックス過去32年チャートとS&P500を比べてみた
今回入手した約32年分のMSCI エマージング・マーケット・インデックスとS&P500を比較してみました。
今回はMSCI社のEM (EMERGING MARKETS) Standard (Large+Mid Cap)を使用しました。
月次チャート(月に1度しか価格を拾わない)なので、値動きが粗いですがご了承くださいませ。
32年|1988年~2020年の比較
期間中、米国ではITバブル崩壊とリーマンショックという2つの歴史的大暴落が発生していますが、新興国株インデックスは同じクラスの上下動が連続していますね。
特にリーマンショック時の下落率はハンパない(笑)
期間中のリターンとリスクを計算すると、リターンは大差ないもののリスクはS&P500の約2倍と数値にも表れています。
新興国株インデックスは超ハイリスク・ハイリターン銘柄と言っていいのではないでしょうか。
しかし、30年だと途中の値動きがぼやけてしまうので10年ごとに区切って見てみましょう。
1988年~2000年の比較
1990年初期はS&P500を大きく上回るパフォーマンスでしたが、1997年に発生したアジア通貨危機によって大暴落が発生し、その後は伸び悩んでいます。
期間中のリターンは新興国株インデックス9%と優秀ですがリスクは35.1%ととても高いです(;^_^A
S&P500は2000年にITバブルの絶頂を迎えるので平均リターン15.6%、リスク11.9%と凄まじいパフォーマンスでした。
2001年~2010年の比較
2000年前半、米国のITバブルが崩壊、そして2008年にはあのリーマンショックが発生し、S&P500は”失われた10年”と呼ばれる低迷期でした。
10年の平均リターン-2.2%という数字がその低迷ぶり物語っています。
今の米国株インデックスからは想像もできないパフォーマンスですね。
それに対し、新興国株インデックスはITバブル以降S&P500を大きく上回り、期間中の平均リターン0.4%のS&P500に対し、新興国インデックスは11.8%でした。
これはBRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国)と呼ばれる新興国が大きく伸びたことが要因と考えられます。
その後のリーマンショックで凄まじく暴落していますが、そこからV字回復と、この期間中でも新興国株インデックスのハイリスク・ハイリターンが表れていますね。
2011年~2020年の比較
S&P500に関しては皆さんがよく見るチャート比較ですね。
この10年はご存じの通り米国株のターンでした。
GAFA(Google・Amazon・facebook・Apple)と呼ばれる米国のプラットフォーマーが世界を席巻し、ITバブルほどではないものの10年で価格は3倍になっています。
対して、新興国株インデックスは直近1年は好調なものの、長期で見ると低迷の10年でした。
期間中の平均リターン1.4%、リスク16.8%とハイリスク・ローリターン状態です。
この直近10年のチャートだけを見ると新興国株インデックスへ投資しようと思う人はほとんどいないでしょうね。
まとめ|新興国インデックスが将来伸びるかどうかは先進国次第?
- 新興国株インデックスは中国・台湾・韓国・インドで全体の75%を占める
- 年代によってS&P500を大きく上回ることがあるがリスクはS&P500の2倍でハイリスク・ハイリターン
- 直近10年は平均リターン1.4%と低迷している。
今回検証では、新興国株インデックスは直近10年は振るわないものの、S&P500上回るほどのパフォーマンスを残すポテンシャルがあることがわかりました。
そして、特徴的なのは30年の平均リスクが31.1%と非常に高いということ。
ザックリ説明すると
- 常時±30%変動する
- 暴落時は-60%する
- 逆に年60%増の爆伸びのチャンスもある
値動きを許容できるなら投資先としては面白いなと感じました。
アジア成長の需要をどこが獲るか
内閣府が発表している今後のGDP推移の予想です。
これからは米国も伸びますが、それ以上にアジア圏のGDPの伸びが大きく10年後の2030年には米国を上回ると予想されています。
しかし、
アジアのGDP成長≠アジアの株価成長
GDPの成長と株価は必ずしもリンクしないと言われています。
例えば、アジアの国々がGAFAMのモノやサービスで発展した場合は新興国株よりも米国株の方が伸びますよね。
今後、
- 急激に成長するアジア圏の中からとんでもない企業群が現れるか
- それともGAFA(米国企業)のようなプラットフォーマーがその需要を根こそぎ持っていくのか
これから30年で爆伸びするアジア圏のGDPの需要をどこの国の企業が掴み取るのかが新興国インデックスで大きな利益を得られるかの分かれ道になると思っています。
これからどうなるかは分かりませんが、僕は将来の可能性を感じるので新興国へ投資しています!
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