これまで当サイトでは米国株インデックスなどで様々な積み立てシミュレーションをやってきました。
過去に起きた色んな出来事で「自分の積み立て資産はどうなるのか?」はケーススタディとして参考になりますし、何よりやっていて面白いので今後も続けていく予定です。
しかし、積み立てシミュレーションの結果を鵜呑みにすることはオススメしません。
なぜなら
過去の実績は未来を保証ではない
からです。
- これまで起きたこと
- これから起こること
は全く別の話ということです。
長期積立シミュレーションで算出される「最終資産額」にはほとんど意味がありません(相場の値動きによって全く結果が異なるため)。
どんなにシミュレーションしたところで、これから先はシミュレーション結果とは違う未来がやってきます。
ということで今回は、30年分の米国株インデックスS&P500チャートと乱数シミュレータを使って、これから30年に米国株インデックス投資をしているとどんな可能性があるのかを調べてみました。
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米国株インデックスS&P500の30年積立シミュレーション
まずは実際の過去30年の実績を見てみましょう!
S&P500を変換した仮想eMAXIS Slim米国株式(S&P500)に毎月1万円ずつ積み立てた場合のリターン・リスクを算出しました。
- 検証期間は1990年1月~2020年11月(約31年)
- S&P500はYahoo!Financeでダウンロードしたものを円建てに変換しeMAXIS Slim米国株式(S&P500)を再現
- 分配金は1.8%、信託報酬は年0.2%で計算
- 平均リターンは幾何計算で算出しています
※簡易な計算なのでイメージとしてお楽しみください(^^)
こちらがシミュレーション結果です。
やっぱS&P500は凄いね!
今回のシミュレーションではITバブル崩壊やリーマンショックを含んでも30年の平均リターン8.1%と凄まじいパフォーマンスとなりました。
積立元本370万円に対し、最終評価額は5倍の1,850万円です。
今回は1万円の積み立てシミュレーションです。積立額が5万円になると1億円近い資産となります。
この平均リターンは色んなサイトでも似たような数値になっていて、この数値に夢見みて米国株インデックスに投資している方は多いでしょう。
僕も普段は米国株インデックスのネガティブ記事ばかり書いていますが、控えめに言ってめっちゃ期待しています(笑)
この数値を基に乱数を使って3000回計算する
ただ最初にも言ったとおり、今回のシミュレーションで算出された最終資産額には意味はありません。
しかし、最終資産額には意味はありませんが、30年積み立てたデータには意味があると思っています。
こちらは米国株ですが保有期間と実質利回りを表にしたものです。
例えば、コインを投げると表が5連続で出ることもありますが、何百回と続けると50%に近づきますよね。
これと同様に、日々激しく値動きする株式も、時間と伴に平準化され平均値へ近づいていきます。
この30年はITバブル、リーマンショックという二つの歴史的大暴落、直近10年の急成長など、米国株には色んなことがありました。
30年データで算出した平均リターンやリスクは「平均回帰」が進むことによって、長期リターン・リスクの目安としては有用な数値であると考えています。
↓シーゲル教授の株式投資について詳しくはこちら↓
そして今回は無料のWEBツールを使用し、この平均回帰が進んだリターンとリスクを基に3,000回の乱数計算を行いました。
↓今回使用した乱数シミュレータはこちら↓
今回導き出した数値
- 平均リターン:8.1%
- 年次リスク:21.1%
- 投資期間:31年(1990年~2020年なので)
- 毎月1万円を積み立てる
を使用してシミュレーションします。
S&P500の過去30年の積立実績は上位30%に入る好成績である
こちらが計算結果です。
実際の過去と比べてみると
- 実際の過去:1,852万円
- 中央値:1,148万円
- 平均値:1,629万円
こちらは計算結果の分布です。
実際の過去の1,852万円は計算結果の分布でいうと上位30%に入るんです。
言い換えると、米国株インデックス(S&P500)と定額積立投資という組み合わせではこの30年間の実績は運の良かったとも言えます。
計算上では、これから30年も同じリターン・リスクだとしても、積み立てた実績は1,852万円より低くなる可能性が高いということは頭の片隅に入れておきましょう。
とはいえ、中央値でも元本の3倍なので十分とも言えますが(笑)
30年投資しても元本割れする可能性はある
米国株インデックス投資で20年後・30年後に元本割れって正直イメージわかないですよね(;^_^A
でも、
元本割れの可能性はあると思います。
リアルのシミュレーションでも19年目に元本割れしている
今回の実際の過去のシミュレーションでも積み立て開始から19年目に元本割れしているんです。
今回のシミュレーションでは19年目でしたが、もし将来に世界大恐慌クラスの大暴落が発生したら30年でも元本割れする可能性があります。
世界大恐慌では株価は最高値から3年で5分の1以下まで暴落しました。
今回の実際の過去シミュレーションでは上位30%の成績でも30年で5倍です。
↓詳しくはこちら↓
ちなみに、最近ブームとなっているハイテク中心のETF・QQQは20年前に世界大恐慌級の暴落を起こしています。
その後、株価が戻ったのは16年後の2016年、たった4年前です。
↓QQQの大暴落について詳しくはこちら↓
まとめ|S&P500といえど過度な期待は禁物
- S&P500を毎月1万円積み立てると30年後に1,852万円になった
- しかし乱数で3,000回計算するとこの額は上位30%
- 平均値1,629万円・中央値1,148万円
- 元本割れの可能性もゼロではない
今回のシミュレーションでS&P500に定額積立して得られたリターンは計算上は上位30%に入る運の良い数値ということが分かりました。
こちらはリスクゼロで定率8.1%で増えた場合の資産額です。
この30年はトータルで見るとリスクがプラスに作用し、定率8.1%を上回わっていますね。
過去の好成績は最後の10年が凄まじく右肩上がりだったことが大きく影響しています。
同じリターンでもシミュレーション期間終盤に暴落が来るとリターンは一気に悪くなりますし、元本割れしている可能性だってあります。
今回のシミュレーションも結局のところ過去の数値に依存した結果なので、将来がシミュレーション結果の範囲内に収まるという保証もありません。
30年で1,852万円(約5倍)という数字は鵜呑みにせず、中央値の1,148万円(約3倍)くらいに思っておく方が良いのかもしれません。
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