前回の記事で、eMAXIS Slim S&P500や楽天VTIなどの投資信託の基準価額は「為替の影響を受けた後の価格である」ということを解説しました。
↓詳しくはこちら↓
しかし、投資信託の基準価額には他にもあまり知られていないことがあるんです。
それは
基準価額には信託報酬や配当金も含まれている
ということで、今回は投資信託の基準価額について解説します。
この記事を読んでわかること
- eMAXISSlimS&P500や楽天VTIなどの基準価額には信託報酬や配当金が含まれる
- eMAXISSlimS&P500や楽天VTIなどのは分配金を出さない
- 投資信託はファンド内再投資で効率的に資産が増える
この記事を読んでほしい人
- 投資信託の基準価額をよくわかっていない方
- 投資信託よりETFの方がかっこいいと思っている方
目次:ジャンプできます
投資信託の基準価額の決まり方
こちらは投資信託の基準価額の計算方法のイメージ図です。
投資信託の基準価額の計算方法
- 投資信託が投資している全ての資産の時価の合計に利息・配当収入を加える
- 信託報酬等の費用を差し引いて「純資産額」を計算する
- ②で計算された金額を、投資信託全体の口数で割る
※口数=投資信託の取引単位(株でいう株数)
このように投資信託の基準価額は投資先の配当金も信託報酬などの費用を足し引きした後の価格なんです。
再投資型・受取型のどちらを選んでも分配金は出ない
投資信託を購入するときに「再投資型」か「受取型」のどちらかを選びますよね。
しかし、eMAXISSlimS&P500や楽天VTIなどは原則分配金を出さない方針なので、「受取型」を選んでも分配金をもらうことができません。
インデックス型の投資信託は原則無配の銘柄が多いようです。
※分配金再投資と無配でファンド内再投資は別の話なのですが別記事で紹介します
「受取型」で運用したい方は、投資する銘柄が分配金を出しているかどうかを事前に確認しておきましょう。
分配金を出すと基準価額は下がる
出展:ちばぎんブログ
eMAXISSlimS&P500や楽天VTIなどの投資信託は原則無配ですが、中には分配金を出す投資信託も存在します。
伝えにくかったので冒頭のイメージ図には載せていませんが、分配金を出す投資信託の場合は純資産額の中から支払われます。
なので、分配金を出した分だけ基準価額は下がります。
分配金は不労所得ではありますが、その分基準価額が目減りしていることは知っておきましょう。
配当金等の再投資により評価額は指数を上回る
珍しく鋭いですね(笑)
その通りです!
eMAXIS Slim S&P500や楽天VTI等の無配投資信託のチャートは配当を加味しない純粋なS&P500やCRSP US Total Market(VTI)等の指数を上回ります。
実際に比較してみた
- 投資信託の基準価額はSBI証券のものを使用
- Yahoo!FinanceでInvesting.comダウンロードした指数を使用
- Investing.comでダウンロードしたドル/円データで円建てに変換
※指数もドル/円も終値で計算していますが、データの出所が違うので実際の数値とは異なる可能性があります。
楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天VTI)
先ずは僕がメインで投資している楽天VTIです。
設定日から約3年が経過していますが、円建てCRSP US Total Marketを3.7%上回っています。
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)
続いて一番人気のeMAXIS Slim S&P500です。
こちらも円建てS&P500指数と比べると2.7%上回ります。
楽天・米国高配当株式インデックス・ファンド(楽天VYM)
最後に米国高配当ETFに投資する楽天VYMでもやってみました。
さすがの高配当!なんと6.1%も上回っています。
楽天VYM(楽天・米国高配当株式インデックス・ファンド)は高配当と名がつくのに分配金はもらえないというクセの強い投資信託です。
分配金目当ての方はETFの方へ投資しましょう(^^)
無配の投資信託はETFより再投資の効率が良い
「楽天VTIは本家VTIと異なり、分配金が出ない分、国内での約20%の課税は繰り延べできるか?」
という照会を楽天証券にして、回答を頂いたのでシェアしますね。
結論、やはり楽天VTIは原則分配金の支払いの予定がなく、投資信託内で再投資されるので繰り延べとなり、複利効果を活かせるみたいですね pic.twitter.com/jftz5DSJpH
— 小林亮平 / BANK ACADEMY (@ryoheifree) March 31, 2020
投資信託とETFの配当金・分配金のイメージ図です。
eMAXISSlimS&P500や楽天VTIなどは原則分配金を出さないので、投資信託の投資先から得られる配当金はそのままファンド内で再投資されます。
対して、VOOやVTIなどのETFは分配金として投資家に支払うため、国内税20.315%がかかってしまいます。
さらに、分配金がETFの価格を超えない限り再投資もできません。
配当金・分配金に関しては、再投資を効率的に行える投資信託の方が有利なのです。
↓ETFと投資信託の実績比較はこちら↓
尚、今回は分かりやすくするため省略してますが、この他に外国税がかかる場合があります。
↓外国税について詳細はこちら↓
まとめ|投資信託チャートは全部込み込み!
- 投資信託の基準価額は配当金・手数料込みで計算されている
- Slim S&P500や楽天VTIは原則分配金を出さずファンド内で再投資
- その結果、チャートは配当を加味しない指数を上回る
- ファンド内再投資はETFより税金面で有利
投資信託の基準価額には配当金や信託報酬等の手数料、前回記事でも紹介した為替の影響など、全て込み込み価格です。
こちらは、ネット検索で「VTI」と検索して出てくるチャート(ドル建て)と楽天VTI(円建て)チャートの比較です。
何も入っていないVTIと、全部込み込みの楽天VTIは値動きが違うということは知っておきましょう。
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