2020年2月下旬、コロナショックにより株価が大きく下げていますね。
暴落水準である1標準偏差を大きく突き抜けたので、名実ともに暴落として今後語り継がれていかれることでしょう。
さらに、株価の下落と同時に円高がジワリジワリと進んでいて、相対的に外国資産が目減りし、日本人にとってはダブルパンチの状況となっています。
暴落時に円高になりやすいというのは有名な話ですよね。
テレビでも円高・株安と報道されるようになり、今資産運用をされている方も、為替について少し気になっていると思います。
実はこの「円高」って思った以上に影響が大きくとっても厄介なんです。
ということで、今回は日本円(為替リスク)が米国株投資に与える影響をITバブル崩壊・リーマンショック時のチャートを使用して調べてみました。
この記事を読んで分かること
- 過去20年では暴落時に円高となる傾向である
- 円高が米国資産に与える影響
- 暴落時は本国アメリカより辛い
この記事を読んでほしい人
- これまで為替リスクを考えたことがない人
- 為替がどれくらい資産に影響を与えるのか具体的に知りたい人
先に結論を言っちゃいますと、上のグラフのように為替が資産に与える影響は大きく、今回のシミュレーションでは日本円は米国株資産に対してかなりマイナスな働きをすること、そして円高のピークは暴落の底値を過ぎてからやってくることが分かりました。
A.本国のアメリカ人以上に辛い思いをする
もちろん為替がプラスに働くこともあるのですが、今回検証した2回の大暴落では、どちらも本国の米国よりも深く・長く低迷しています。
特にITバブルでは、バブル絶頂期に円高が遅い恩恵が半減し、暴落後はさらに円高が進むという踏んだり蹴ったりの結果でした。
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円高は米国株資産をがっつり削る
こちらは1998年1月~2020年2月までのドル円チャートです。
青い点線は期間中の平均値で108円です。
近似値線を引いてみると、この22年間は緩やかに円高が進んでおり、2007年から2014年に限っては激しく円高になってることがわかりますね。
こちらは期間中のドルの最高・平均・最低価格と変動比を現したものです。
円相場が±30%変動するということは、資産の価値も±30%で変動するということを意味します。
もう何となく想像がつくと思いますが、為替が資産に与える影響はすさまじく大きいのです。
そしてグラフでは1998年から2012年にかけて約4割も円高が進んでいます。
先ほどの説明のとおり、円高が4割進むと日本円での資産価値が4割減ります。
そして、恐ろしいことにこの時期にリーマンショックが発生しているんです!
冒頭でも触れましたが、今回のシミュレーションでは2回の暴落の両方とも円高となっていて、日本人米国株投資家にとってつらい時期となっていました。
それでは、ITバブル崩壊・リーマンショック時のそれぞれをシミュレーションしてみましたので、このダブルパンチの詳細をご紹介します。
シミュレーション結果を紹介する前に条件の確認です。
- MacroTrendsで購入したS&P500(米国株)チャートを使用
- ドル/円チャートはInvesting.comでダウンロードしたものを使用
- 通貨が異なるためある定点を100%としてそこからの値動きを比較
- 配当・税金・インフレなどは考慮しません
※簡易な計算なのでイメージとしてお楽しみください(^^)
ITバブル期|バブルの恩恵を受けられず暴落する・・
こちらはITバブルから崩壊期・回復期のドル・円建てS&P500をグラフにしたものです。
90年代後半から2000年にかけてハイテク株が実際の価値以上に暴騰し、米国経済はITバブルに沸いていました。
↓ITバブル崩壊について詳細はこちら↓
しかし、バブルと激しい円高が同時期に発生したため円建てS&P500だとバブルどころか資産価値は右肩下がりとなっています。
そしてバブル崩壊。
一旦は円安となりましたが、S&P500の底値を過ぎた辺りから再び円高となり円建てS&P500はドル建てと比べ資産の回復が鈍くなっています。
ここぞのタイミングで円高となったため、バブル絶頂の恩恵も受けられず暴落後は回復も遅いという結果で、円建てS&P500は該当期間中は平均で10.3%下回って価格推移しています。
ITバブル期の為替の影響
- バブル絶頂期と円高が重なり恩恵を受けられない
- 底値を過ぎた回復期に円高が重なり資産の回復が遅い
- 円建てS&P500は平均すると10.3%下回って価格推移する
リーマンショック|米国よりも深く・長く暴落する
こちらは100年に1度の大暴落と言われたリーマンショックから回復期・現在までのドル・円建てS&P500をグラフにしたものです。
ITバブル崩壊から7年後、やっと株価が戻ったと思ったら今度は100年に1度の大暴落と米国株にとって長く低迷した時期でもあります。
グラフを見てみると、暴落と同時に円高が始まったため、ドルと比べ約10%も余分に暴落しています。
円建てS&P500のリーマンショック時の暴落率は驚愕の60%です。
さらに今回も底値を過ぎた後にさらに円高が進むことで約4年間も底値付近で資産価値が推移し、元の価格に戻るまで1年も余分にかかります。
期間中は該当期間中は平均で18.2%も下回って価格推移し、最終価格も1割以上低い結果となりました。
リーマンショックの為替の影響
- 円高によりドルより深く暴落する
- 底値を過ぎた後に円高のピークとなり資産の回復が遅い
- 暴落付近の価格で約4年も低迷する
- 円建てS&P500は平均すると18.2%下回って価格推移する
黄金期|円安の恩恵を受け米国より1割増しのリターン
と感じてる方も多いと思いますが、直近10年は為替がかなりプラスに働いた期間なんです。
こちらはリーマンショックの底値から現在までのドル・円建てS&P500をグラフにしたものです。
現在はコロナショックにより米国株は暴落していますが、2020年2月までの直近10年間は皆さんがよくご存じの黄金期・最強米国株期間です。
ここまで踏んだり蹴ったりの内容でしたが、この10年間に限っては株価の急成長と円安が重なりドル建てを約1割上回る実績です。
円安が進んでいた期間に米国株投資を始めた方は本国よりも大きなリターンを得られているハズです。
期間中は該当期間中は平均で16.3%も上回って価格推移し、最終価格も1割以上低い結果となりました。
米国株黄金期の為替の影響
- 株価の急成長と円安が重なりドル建て以上に資産が伸びる
- 円建てS&P500は平均すると16.3%上回って価格推移する
まとめ|コロナショック終息後に本当の円高がくるかもしれない
- 日本円は20年で±30%も変動している
- 円高が30%進むと資産価値は30%下がる
- 配当金も同様に目減りする
- ITバブルでは円高で恩恵受けれず、底値の後も円高で回復遅い
- リーマンショックはドル以上に暴落し、底値の後も円高で回復遅い
- 黄金期に限っては円安と株価成長が重なり本国を上回る
今回のシミュレーションの結果、ここぞの局面で円高が作用し資産がドル建てより増えない・下がるという現象が多く見られました。
直近10年の黄金期ではプラスに作用していますが、ITバブルの上昇期では円高ですし、ここ数年も円高が進んでいるため、必ずしもプラスに作用するかは分かりません。
このように過去20年で見ると、日本国内での米国株投資で為替はマイナスに働くことが多く相性が悪いということが言えますね。
また、大暴落時の円高は、底値を過ぎた後にピークが来るため資産の回復が遅く、本国の米国よりも辛い思いをする可能性が高いということも重要なポイントです。
2020年3月現在、コロナショックにより暴落していますが、まだ底値がどこかは分からない状況です。
そして底値が過ぎた後も、前回と同様に円高のピークに襲われ、資産が思うように増えないかもしれないことは頭に入れておきましょう。
見方を変えるとバーゲンセールが長いともいえる
暴落時に円高によって長く低迷はしますが、見方を変えると長期間バーゲン価格で購入できるというメリットにもなります。
追加投資はもちろん効率的ですが、日々の積み立ても長期間安い価格で積んでいくことができるんです。
安い時に多く買い付け、価格が戻った時に大きく資産が増えるのは、ドルコスト平均法の大きなメリットですね。
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ご存知の通り、長期で見ると株式は200年以上右肩上がりです。
為替によって思ったよりも辛い期間が長引くかもしれませんが、株式投資の未来を信じ、粘り強く生き残っていきましょう!
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