今般、2020年1月1日より施行の税制改正によって、内外での二重課税が生じないよう、投資信託等を経由して支払った外国所得税は、分配金に係る源泉所得税の額から控除できることとする調整措置がとられることとなりました。
出展:楽天証券
2019年末から年明けにかけて「ETFの分配金等にかかる二重課税が解消される」というニュースが大きな話題となりました。
僕もこのニュースを聞いた時は同じように思いました。
しかし、この二重課税調整制度は多くのインデックス投資家が投資しているVOOやVTI、高配当のVYMやSPYDなど米国ETF(外国籍ETF)は対象外なので注意が必要です。
この記事を読んでわかること
- 外国籍ETFの二重課税問題
- 外国税控除が不要なETFと必要なETF
この記事を読んでほしい人
- VOOやVTI、VYM、SPYDなどが外国税控除不要となると思っている方
- 二重課税調整制度適用のETFを知りたい方
目次:ジャンプできます
外国籍ETFの二重課税と外国税控除
VOOやVTI、高配当のVYMやSPYDなど米国ETFの分配金にかかる税金って20.315%だけじゃないって知っていますか?
実は分配金が支払われる際、先ず米国の所得税10%が引かれ、その後に国内税の20.315%と二重に税金が引かれるため、実際に手元に残る分配金は71.7%ほどになるんです。
なので配当利回り5%のETFでも、手元に入るのは
「分配金5%」ー「米国税10%」ー「国内税20.315%」=約3.6%
となるのです。
これは米国個別株の配当金も同様です。
そして、そんな損した気分になる二重課税を取り戻す制度が外国税控除です。
確定申告時に申請することで米国での税金を取り戻すことができるんです。
ただし、取り戻せる額は所得によって異なり、平均的なサラリーマンの収入では全部取り返すことは困難です。
高配当投資は資産が大きくなると安定的なキャッシュフローを生み出してくれますが、配当・分配金を再投資して資産を増やすには効率が悪いという側面もあるということは知っておきましょう。
外国税控除は7割の人が「やっていない」
皆さまアンケートにご協力ありがとうございました!
「やっていない」が7割を占めるちょっと予想外の結果となりました。
ちなみに、米国配当は、米国税金10%と国内税20.315%がかかるため、手取りは約72%となります。
外国税控除は10%を取り戻すことができる制度です(取り戻せる額は所得による) https://t.co/GilAXQlr31 pic.twitter.com/kxoXDwhW7W
— ナザール@未来は想像を超える (@investor_Nazal) July 19, 2020
この外国税控除、アンケートを取ってみると手間がかかる・返ってくる金額が少ない等の理由で、外国税控除を知らない人を含めると7割の方がやっていないことが分かりました。
一般サラリーマンクラスの年収だと、手間のわりに返ってこないというのが現実の様です。
高配当投資の配当・分配金は7掛けくらいで思っておく方が良いのかもしれませんね(;^_^A
国内籍ETFは二重課税が調整され外国税額控除が不要となる
そんな中、2020年1月1日の税制改正によって、国内籍ETFは外国所得税の二重課税が生じないように分配金に係る国内税20.315%から差し引かれることになりました。
ポイント今のところ国内籍ETF(国内の金融商品取引所に上場しているETF)に限られているということです。
冒頭でも言った通り、多くのインデックス投資家が投資しているVOOやVTI、高配当のVYMやSPYDなど米国ETF(外国籍ETF)は対象外なんです。
これ、ニュースや証券会社のサイトでも説明が分かり難く、勘違いしている方が続出していますので、もし見かけたら優しく教えてあげましょう。
※東京証券取引所が公開しているPDFにジャンプします
知らなかった!!
あまり知られていませんが、証券コード1655や2558などの国内籍ETFでもS&P500に投資することが可能です。
所得に関係なく外国税を取り戻せるので、分配金の税金が気になる方にはオススメです(^^)
個人的には投資信託が最強だと思っている
ここまでETFの分配金の話をしてきましたが、インデックス投資をするなら個人的には投資信託が最強だと思っています。
楽天VTIなどの米国インデックス系の投資信託は、原則無配(分配金を出してない)です。
なので、投資先から得た配当金に米国税10%を引いた90%が国内税20.315%を引かれることなく丸々ファンド内で再投資されるため、配当金再投資の効率はETFを凌ぎます。
「楽天VTIは本家VTIと異なり、分配金が出ない分、国内での約20%の課税は繰り延べできるか?」
という照会を楽天証券にして、回答を頂いたのでシェアしますね。
結論、やはり楽天VTIは原則分配金の支払いの予定がなく、投資信託内で再投資されるので繰り延べとなり、複利効果を活かせるみたいですね pic.twitter.com/jftz5DSJpH
— 小林亮平 / BANK ACADEMY (@ryoheifree) March 31, 2020
図解にしてみるとこんな感じです。
また、ETFは分配金として支払われるので、分配金が基準価を超えない限り再投資ができません。
そして配当金をファンド内で全額再投資できる投資信託に対し、ETFは再投資しても必ず端数が生じます。
信託報酬は投資信託の方が高いですが、ETFには為替手数料や売買手数料が必要であるため、費用総額にほとんど差はありません。
その分、再投資を効率的に行える投資信託の方が有利なのです。
↓ETFと投資信託の実績比較はこちら↓
100円以上なら1円単位で購入でき、定額積立も可能と使い勝手も優れる投資信託が個人的には気にっています。
まとめ|ETFの国籍によって外国税控除が必要かどうかが異なる
- ETFの分配金は二重課税になっている
- 2020年1月から二重課税が調整されるようになった
- ただし調整されるのは国内籍ETFのみで外国籍ETFは外国税控除が必要
- 国内籍ETFでもS&P500に投資できる
- 僕は投資信託が好き♪
外国籍ETFはバラエティに富んでおり、国内籍ETFや投資信託では購入できない銘柄が沢山あります。
また、バンガードなど世界屈指の運用会社が桁違いの資産額を運用しており、安心感も抜群です。
ただ、S&P500やVTIなどメジャーなインデックスで投資したいなら国内籍ETFや投資信託の方がオススメです。(個人的に)
どれも一長一短なので、自分に合うものを探してみましょう!
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