2020月2月まで米国株高配当ETFとして大人気だったSPYD。
しかしコロナショックで他の銘柄より激しく・深く下落し現在は米国株式の中で一人負け状態となっています。
9月24日時点では設定時の5年前の価格をも下回っており、SPYDに投資している方の多くは含み損を抱えている状態だと思います。
そして
SPYDの2020/9月の1株当たり配当金(ドル)が決定しました。
・2020/9/18 0.263572
・2019/09/23 0.44767一年前比で約41%程の減配。予想通りの大幅減配でしたね。更に手放す人が多くなりそうです。
— ハル・タチバナ☀@SPYD6,051株️🇺🇸 (@haru_tachibana8) September 18, 2020
他のETFと比べ、SPYD一番のアドバンテージであり頼みの綱だった「分配金」も大幅に減配し、まさに踏んだり蹴ったりです(;^_^A
価格も戻らないし、大幅減配したし、他の銘柄に乗り換えようかな。。
SPYDの今後についてネガティブな気持ちになっているアナタに朗報です。
色々と調査してみたところ、SPYDの過去30年のトータルリターンがS&P500のトータルリターンを上回っているデータを発見しました!
僕も最初は信じられませんでした。
しかし、散らばったデータを繋ぎ合わせていくと、とても面白い事実が浮かび上がってきました♪
SPYDに対する一つの視点として楽しんでいいただければと思います(^^)
SPYDの未来は明るい!
この記事を読んでわかること
- SPYDが一人負けしている理由
- SPYDの仕組み
- SPYDとS&P500のトータルリターン比較
この記事を読んでほしい人
- 今回の下落でSPYDは暴落に弱いからやめたいと思った方
SPYDが不調な理由と批判されている理由
まずはSPYDがどんな銘柄で、なぜ不調なのか、なぜ批判されているのかを振り返りたいと思います。
SPYDは均等加重平均で小型株の影響を大きく受ける
S&P500やVTIは時価総額加重平均と言って、時価総額の大きさによって配分が異なります。
対してSPYDは、時価総額に関係なく80社を均等に配分する均等加重平均で構成されているという大きな特徴を持っています。
なので時価総額(規模)の小さい銘柄も時価総額の大きい銘柄と株価に与える影響度は同じなんです。
今回の一人負けは、激しく下落してしまった小型株の影響を大きく受けたことが要因の一つです。
値上がり株を売り、値下がり株を買う、をひたすら続ける
SPYDは半年に一度、値上がった株を売却し、値下がりした株を買い増しするというリバランスを実施しています。
このリバランスにより、値上がり銘柄を半年ごとに一定量売却してしまうので、調子のいい銘柄を多く持てないという特性を持っています。
株価上昇で配当利回りが下がるとSPYDから除外される
さらにSPYDはS&P500の内、高配当順に80銘柄というルールなので、株価がグーンと伸びて配当率が下がってしまうとSPYDから除外されてしまうんです。
これらのルールが今の相場と相性が悪い
このようにSPYDは価格がグングン上昇する人気株をどんどん売却するので、不人気銘柄ばかりが集まるような仕組みになっているのです。
そして、このルールが今の相場とすこぶる相性が悪い。
人気株を売却するルールに加え、深く・長く下落する事実が説得力となり、色んなサイトで批判の的となっているのです。
ここまで読むと、SPYDって全然増えそうにないですよね(;^_^A
でも実はそんなことないんですよ!
SPYDのトータルリターンはS&P500を上回る
はい、お待たせしました。
前置きが長くなりましたが、いよいよメインディッシュです。
SPYDは結局のところ
- 資産は増えるのか
- 今後も投資するべきなのか
皆さん気になりますよね!
ということで今回は、SPYDの分配金を含めたトータルリターンとS&P500のトータルリターンを過去10年・30年で比較してみました。
SPYDはS&P500 High Dividend Indexという指数に連動するように作られたETFです。
SPYD自体は設定後まだ5年ですが、このS&P500 High Dividend Indexは設定されて約30年経っているんです。
今回はこの指数のトータルリターンデータを使用しました。
SPYDとS&P500|直近10年のトータルリターン
データ入手先のS&P Globalでは過去10年分のチャートをダウンロード可能なので、先ずは10年分の比較です。
直近10年のトータルリターンはコロナショック前まではほぼ互角。
この10年は米国株が絶好調な時期でしたが、値上がり銘柄を売却しがちなSPYDでも右肩上がりの恩恵をしっかりと受けられていることが分かりますね。
税引き後のトータルリターン比較
SPYDは高配当な分、税金差し引くと不利なんじゃない?
ということでネットトータルリターン(税引き後のトータルリターン)で比較してみました。
先ほどと比べ、SPYD・S&P500共にリターンが減衰しています。
SPYDは分配率が高いのでトータルリターンに大きな差が出るかと思いましたが、そうでもありませんでした。
税引き後でも直近10年の好調な米国株の恩恵をしっかりと受けられています。
ちなみに、ネットトータルリターンの税率については確実なソースにたどり着けませんでしたが、MSCIでは控除される税率は30%で計算されているようです。
おそらくSPYDも同じ様な数値で計算されているのではないかと予想します。
そうであれば日本で米国株配当金にかかる税金は約28%なので、日本で投資する場合とほぼ同じですね。
↓税率は下記サイトを参考にしました↓
※SPYDネットトータルリターンの税率については確実な情報をお持ちの方は是非連絡くださいm(_ _)m
SPYDとS&P500|約30年のトータルリターン
コロナショックでこんなに低迷するなら過去の暴落も悲惨だったんじゃないの?
おっしゃる通り。
それではもっと長期で見てみましょう。
S&P Globalでダウンロードできるデータは直近10年分のみで、色々探しましたがSPYDの指数が設定された1991年からのデータは入手できませんでした。(もし入手できるサイトがあれば教えてください!)
なんとか長期比較できないかと放浪していたら、たまたまS&P500 High Dividend Index設定日の基準価額を発見。
同日のS&P500トータルリターンはYahoo!Financeで入手できたので、ここからSPYDとS&P500の過去30年のトータルリターンを再現しました。
その結果がこちら
驚きの結果ですよね!
コロナの影響でその差は一気に縮まっていますが約30年という超長期で見るとSPYDのトータルリターンはS&P500のトータルリターンを上回っているんです。
今回はS&P500は1991年時点のネットトータルリターンが分からなかったので、30年グラフは分配金にかかる税金が考慮されていません。
当然、税金を考慮するとリターンは減衰しますが、それでもこの30年はしっかりとしたパフォーマンスを残しています。
過去の実績は未来を保証するものではありませんが、「ITバブル崩壊やリーマンショックを含む30年間で十分な実績を残してきたという事実」は今後もSPYDに投資するには十分な理由になるのではないでしょうか?
今回の30年トータルリターンのデータの入手先リンクです。
- SPYD指数トータルリターン:S&P Global
- SPYD指数設定日の基準価額:Methodology(PDF)
- S&P500トータルリターン:Yahoo!Finance
もしSPYD指数30年分のチャートを入手する方法がある場合は是非ご一報くださいm(_ _)m
SPYDはバックテストで優秀だったから商品化された
こちらはSPYDが設定された2015年10月時点のS&P500 High Dividend IndexとS&P500のトータルリターン比較です。(1991年1月~2015年10月)
この時点ではS&P500 High Dividend IndexはS&P500を大きく上回っていますね。
S&P500 High Dividend IndexはSPYD専用の指数です。
設定後5年のSPYDに対し指数が30年分あるということは、SPYDはしっかりとバックテストを行い「長期でも十分なリターンを得られる」と判断されたため商品化されたということを意味します。
SPYDは高配当に特化したETFなのではなく、トータルリターンでしっかり資産を増やせるように設計されたETFなのです。
SPYDの特性に関しては、みらいさん(@instockexnet)がとても興味深い考察をされているので、是非お読みください!(この記事を書くきっかけになった記事です)
まとめ|米国株インデックスを異なる2つの投資方法で分散するという考え方
- SPYDは値上がり株を売り、値下がり株を買い増す
- SPYDは株価高騰で配当率の下がった銘柄を除外する
- 結果、不人気銘柄が集まりやすい
- しかし、過去30年のトータルリターンはSPYDが上回る
僕も最初は分配金目当てでSPYDへの投資を始めました。
しかし、投資しながら銘柄を調べていくにつれ、SPYDに投資する意味も変わってきました。
紹介した通りSPYDの過去30年のトータルリターンはS&P500を上回りますが、コロナ後はその差が急激に縮まっています。
ここから察するに、SPYDが優れる期間・S&P500が優れる期間が定期的に入れ替わっているのではないか。
言い換えると、時価総額加重平均の爆伸びターンと均等加重平均の爆伸びターンがあるのではないか。
と僕は想像しています。
ということは、両方に投資することによって、同じインデックスを異なる投資方法で分散投資していると考えられないでしょうか。
もしかしたら、両方に投資することで「リターン・リスクが安定する」ということもあるかもしれませんね。
SPYDへの投資は長期目線で考えよう
今回の調査でSPYDは過去30年にわたり、とても優秀な実績を残してきたことが分かりました。
しかし、クセの強い銘柄であることは確かですし、過去の実績は未来を保証するものでもありません。
SPYDの特性が自分に合わないなら止めてもいいと思いますが「目先のリターンが目減りした」という理由のみであるならば、一旦立ち止まってもう少し長期目線で見てみませんか?
SPYDって調子悪くなってまだ半年しか経っていないんです。
意外と人間って短期的目線でしかものを見られないものなんですよ!
SPYDの特徴をあんま理解してないんやけど、今がSPYDにとって苦手なターンなら、今積み立てなくていつ買うの?って思うけど🙄 つまり数年後、QQQとかが苦手なターンになったら、みんな手放すんかね🙄?https://t.co/1meYbOIyTM
— きしやん@コツコツ熊本の幹事やってます (@oyagakoniosieyo) September 23, 2020
考え方は人それぞれですが、この記事がその考え方の一つとなれば幸いです(^^)
僕はSPYDの将来に期待し、この長期バーゲンセールで淡々と買い増ししていきたいと思います。
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